ようやく秋の訪れを感じるようになりました。今回は、「読書の秋」にふさわしいお勧めの本の紹介です。
副題の「最強の専門家13人が解き明かす真実」のように、著者である小島正美氏と山崎毅氏とが、一般の人が抱きがちな疑問点を各専門家に質問して説明して頂くという形式です。読み手としては、すぐに知りたい項目から読み始められ、1項目のページ数が少ないので、無理なく読めます。
「食品添加物」の章で、畝山智香子氏が
「医薬品や食品添加物のような許認可制で管理されているものは、事業者が安全性を証明しなければ使用が認められませんが、食品は逆に、規制をしようとする場合には国が“安全でない“ことを立証する必要があります。つまり食品のほうがリスクの高いものが販売されている可能性が高く」(アンダーラインは千葉による)
と説明なさいました。
今年、紅麹サプリが問題になりましたが、それはまさに、医薬品でも添加物でもなく、食品に分類されると再確認したいです。
「ノロウイルス」の章で、特にお知らせしたいのは次です。
「カキには生食用と加熱調理用がありますが、その違いは細菌学的な基準に基づいており、ノロウイルスに対する基準は設定されていません。したがって、生食用カキにも、加熱調理用カキよりは低いもののノロウイルスの汚染リスクはあります。」(アンダーラインは千葉による)
生ガキが大好きな人にはすみませんが、大事な用事が控えている際は、特に、注意したいものです。
鍋の季節になって行くので、牡蠣だけではなく他の貝等も含め、加熱不十分にも注意が必要ですね。
「アニサキス」の章に「民間商用のレセプト・データベースを解析したところ、2018年は2万1511件、2019年は1万7962件のアニサキス食中毒があったと推定できます。」とあり、年間約2万件の発生です。「生」がもてはやされがちですが、加熱が一番の予防策で、サバだけではなくサンマやアジ等種々の魚にも注意が必要です。そういう意味で「オトナの食育 2018年6月号 フライパンで作るアジのエスカベッシュ」がお勧めです。
「サルモネラ」の章では、卵の扱いに関して最近の企業努力も知ることが出来て、消費者にとっても有益と思います。
全ての章を紹介すると、長過ぎる文章になり、誰も読まなくなりそうなので、このくらいにさせて頂きます。個人にも社会全体にも役立つ、こういう本こそ、各学校の図書室や自治体等の図書館にあると理想と思います。
■引用文献
小島正美・山崎毅
『 食の安全の落とし穴 最強の専門家13人が解き明かす真実 』
女子栄養大学出版部(2024)
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