オトナの食育 所感編 第44回(通巻76回)2012/8/10号掲載 千葉悦子(高28)

今夏、まだ間に合う 遺伝子組み換え作物見学会
 

 

 今年の夏も猛暑ですね。
 昨夏は、教員免許更新講習を受講しなくてはならず、他の勉強会・見学会まで余力がなかったので、この夏は日本モンサント社が行う「遺伝子組み換え作物見学会」に参加予定です。まだ間に合いそうな日程は、一般向けの826日と、教員向けの822日です。詳しくは、日本モンサント社のホームページをご覧ください。なお、教員向けの見学会については、ホームページには載っていないので、同社広報部にお問い合わせください。
 1私企業の宣伝のようで恐縮ですが、企業の開催する会も、勉強になることがあります。私が駆け出しの教員の頃出席した、味の素の教員向け講習会も、30代で参加した洗剤会社の勉強会も、ためになりました。最近は、東京ガスの食育の会も、それなりに勉強になりました。こういった何年も前から教員向けの会をしてきた企業は、教員に告知する方法を持っていますが、最近企画するようになった企業は、認知度が低いようなので、今回取り上げました。しかも、教員だけでなく一般向けもあるので、小中学生の自由研究で困っているような場合、親子で参加するというのも、ありでは?

今年は24年振りの米国干ばつで、穀物収量が減る?
 今年6月末くらいから、米国の干ばつの予想と、トウモロコシをはじめとする穀物高の予想の記事が、新聞に何度も載っています。日本経済新聞2012731日朝刊「穀物の国際価格 再上昇」の記事に「米農務省は810日発表の需給報告で、単収と生産量見通しを7月予想から下方修正する公算が大きい。」とあります。また、日本経済新聞2012729日朝刊<乾いた大地「収穫半減」>の記事の中で、5代目農家の人の話として「今年は2月から雨が降らず、高校生時代に経験した1988年の干ばつより状況は悪い」そうで、「被害の実態が明らかになるのは収穫が一段落する8月末ごろ。」とあります。
 米国から輸入するトウモロコシは、そのまま食べるのではなく、主に飼料や油・コーンスターチなどの加工品用です。コーンスターチからは、糖が出来、清涼飲料水の甘味にもなります。こういったことは、「オトナの食育 資料編 第15回」に書きました。米国から日本に輸入するトウモロコシは、少し前までは年約1600万トンで、最近は日本でのトウモロコシの消費量が減っていることと米国以外の産地からの輸入もあることから、1200万トンくらいで、日本で生産する米の約1.5倍というほど多いです。日本の食料は、かなり米国のトウモロコシに依存しているという現実があり、米国の大干ばつは日本の食卓を直撃するのです。
 一方、遺伝子組換えの穀物は、不作の度合いを非常に減らす、というグラフを見たことがあります。「食のコミュニケーション円卓会議」の今年6月の定例会での、浜本哲郎氏(アメリカ穀物協会)の資料の中です。
 今年の干ばつが24年振りに非常にひどく、仮に、現在の遺伝子組換え技術を使っても太刀打ちできないという結果になるとすると、遺伝子組換え反対派はそれを根拠に勢いづくかもしれません。そういう場合も、冷静に、干ばつの度合いが小さければ意味があるし、節水型の農業の可能性もあることなどを知って行きたいものです。
 旅費も時間もかかりますが、「遺伝子組み換え作物見学会」といったものに参加して、見聞を広めてはいかがでしょう?どの季節にもある企画ではないので、お見逃しなく。


引用文献等
日本経済新聞2012731日朝刊「穀物の国際価格 再上昇」「トウモロコシや大豆 最高値うかがう」
参考文献等
日本経済新聞2012630日夕刊「農産物 広がる調達先」「トウモロコシ→東欧」
  「大豆→ブラジル」「米国産高騰に備え」
日本経済新聞2012720日朝刊「米干ばつ、国土の6割」「穀物被害 深刻に トウモロコシ最高値」
  「日本など輸入国に影響」「食料値上がりの可能性」
朝日新聞2012721日夕刊 「穀物が高騰 食卓にも影響か」「米国の干ばつ拡大」
朝日新聞2012726日朝刊 「米国干ばつ 困る食卓」「乳製品・醤油…値上げ心配」
  「干ばつでなくても穀物高騰は続く」
日本経済新聞2012729日朝刊<乾いた大地「収穫半減」>「米イリノイ州、干ばつ直撃」
  「地に伏すトウモロコシ」
白井洋一「新登場 乾燥耐性トウモロコシ、干ばつ体制というより水節水型のエコ新品種」201281
FOOCOM.NET http://www.foocom.net/column/shirai/7351/
日本モンサント社 ホームページ http://www.monsanto.co.jp/
食のコミュニケーション円卓会議のホームページの、遺伝子組換え作物の部分
http://food-entaku.no.coocan.jp/gmo1.htm#toumorokoshi
オトナの食育 資料編 第15回 (通巻第62回)2011610日号
DVD
1600万トンのトウモロコシはなぜ、海を渡るのか」
パンフレット「1600万トンのトウモロコシはなぜ、海を渡ったのか」アメリカ穀物協会